2005年08月26日

写真

※今日の日記は暗いですよ。


眠るのが怖い。

眠る前になると、窓から見える夜空を見る時間が増えた。
深い深い蒼と綺麗な星は、慰めてくれているかのように静かで優しい。
やがて彼が隣にきて、ぼくを抱きしめる。

出来るならその時がくるまで、しっかり目を開けていたくてぼくは夜更かしをする。
まだそんな気はないけれど、最期に見るものは彼の顔がいいから。
でも五時に近づくにつれ、ぼくは強烈な睡魔に襲われる。
どれだけ抗っても、ぼくの意識は重石のように暗い海に飲みこまれてしまう。

そうして夢を見るんだ。
そこは闇のレティシアへの道のよう。色のない世界。
違うのは、ぼくにも色がないこと。音もないこと。とても寒いこと。
気が狂いそうなほどの暗黒がぼくを包んで、やがてぼくも闇に解け始めていく。

いやだ。まだ生きてたい。この子を産ませて。もう一度彼の顔を見させて。

そうしてぼくのかたちが無くなる一瞬前に、いつも突然ぬくもりが戻る。
頭上からサラサラと青い光が差し込んできて、ウソのように体が軽くなる。
きっと彼がぼくを呼んでくれてるんだ。みんなのところへ帰る道を教えてくれてるんだ。

そうして確信を持つと、またベッドで目を覚ます。大好きな人に抱きしめられながら。

でも、ぼくはあと何度こうして目覚めることができるんだろう。


住民ニュースと共に訃報の知らせが届いた。
名前に目を通すと、初めての恋人の名が記されていた。
最近は娘達に店をまかせていたけど、久々に自分で白い花束を作った。
そうして、夫と手をつないで尋問に赴いた。

今はもうここにいない、幼なじみのような人。
痛みは無かった?苦しくはなかった?幸せに眠ることができた?
たくさん聞きたいことがあったけど、結局少し顔を見たあと花を捧げて帰ることにした。


19人目の子供も無事に産むことが出来た。
名前は「オーリン」
きっと受けた恩を決して忘れない、優しくて意志の強い子になるだろう。

新しい弟の顔を子供たちに披露していると
ふいにタタールが「家族写真を撮ろう」と提案した。
みんなの写真はたくさん残してあったけど、家族の写真は撮ったことなかったね。
子供たちに手を引かれ、ぼくと彼は庭に出る。

シンシアがいすを持ってきてオーリンを抱いたぼくを座らせ、その側に彼を促す。
子供たちはその周りに並んで、最期にシャッタータイマーをかけたタタールが滑り込む。
カメラのレンズを見ていると照れくさくなって、ぼくは少しだけうつむいてしまった。

彼がついでだから、次はぼくと二人で写真を撮ろうとタタールに撮影を頼む。
エロスがぼくと彼をひやかしたおかげで、意地をはってしまったけどとっても嬉しかった。
いつも一緒にいる彼と二人きりの写真なんて、実のところもっていなかったから。
なのにぼくときたら、とんでもない顔で写ってしまっただろう。
恥ずかしくて恥ずかしくて、彼の胸をずっと叩いていたから。

せっかくの写真なのに、どうしてこんな時にぼくは素直になれないんだろう。
少し後悔しながら彼を見上げる。
彼はこの上なく優しく微笑んでいた。とっても綺麗な笑顔だった。

こんなに美しいもの、写真にはきっと残せない。
後悔はわずかに尾を引いてほとんど消えた。


その後、下の子たちが「自分もママと二人の写真がほしい」と可愛いことをねだってくれた。
上の子たちも、次々と申し出てくれる。
おかげで19人分の写真を立て続けに撮られて、ぼくはカメラに慣れてしまった。

最後にオーリンとの写真を撮り終え、お守りを頼んでみんなのご飯を作るため
キッチンに向おうとしたぼくを、シンシアが呼び止めた。

「これ、私たちからお母さんへのプレゼントよ。提案したのは兄さんなんだけどね」

そう言ってぼくに渡してきたのは三枚の写真だった。
ぼくの大好きな彼の笑顔と、ぼくと彼が寄り添って笑い合ってる姿
それから、家の裏手でみんなの目を盗んで、こっそりしたキスの写真。

「こ、こんなものいつのまに撮ったの…?」

顔が熱くなるのを感じながら問うと、シンシアはクスクスと笑って答えた。

「いいじゃない、今更でしょう?…形に残すのも、たまにはいいものよ」


シンシアも、他の子供たちも知っている。ぼくと彼の別れの刻が近いことを。


「………いらない?」

寂しそうに微笑む娘。
その瞳の色に少し困って、ぼくは空へ視線を逃がした。

やがてぼくが行く場所。そこには愛する色が広がっていた。
もし仮に彼と離れ離れになっても、この写真が彼と空にいるぼくを
つないでくれるかもしれない。夢の中の道しるべのように。

たしかに、形に残すのもたまにはいいかもね。
キュッとこみ上げたものを我慢して娘に微笑み返したぼくは、
また一つ増えた、大切な宝物をそっとポケットにしまった。

ついに19人目出産、ヤンたン情報によるとPeoPle最高記録とタイらしいです。
あと一人、持ちこたえて87!!
今回の日記は完全にきょうのマルチェ郎とリンクしてます。
ボロ泣きしました…さすが旦那さま…
私は気持ちが突っ走って書きたい事がなんなのか途中でわからなくなりました。(ヘタレ)
posted by エイト87 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/6280234

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。